ヨコ子/結婚には焦ってないと言いはるアラサー女子
会社近くにおいしいパン屋さんがあるというのは幸せなことです。
西11丁目駅近くに「ベーカリーハウスピノ」という、2階建ての素朴なパン屋さんを見つけました。ほとんどが200円を切るお手頃価格のパンは、石造りの窯で焼き上げているそう。
キッシュ、カルツォーネ、紅茶のクリームパンを選び、太陽光あふれる2階のイートインスペースでもぐもぐと味わいましたよ。キッシュは、ピーマンやニンジンなどの野菜がたっぷりだし、カルツォーネは白くてふわふわのクッションのようなキュートな見た目。紅茶のクリームパンは、生地にも紅茶が練り込んであり、自家製のカスタードクリームはアールグレイ味のようです。これが全くくどくない。紅茶好きの私としては、なかなかのヒット。
ぽかぽかした陽だまりのなか、おいしいパンをほおばり、すっかりくつろぎきってランチタイムを過ごしていました。
本が置かれてあるラックを見るまでは・・・。
何気なく手にとってみて、夢から覚めました。
だって、置いてある本といったら、
「自己治癒力を高める 気の生命活性術」「人生をつかめる人つかめない人―悩み、迷いでくよくよするな!」「気の流れで決まる 運・不運の法則」…。
普通、パン屋さんに置かれている本って、生活情報誌とかファッション誌とか、そういう気軽な雑誌ですよね。
この偏り。
なにか、店主からの並々ならぬメッセージを感じます。
パラパラとめくってみると・・・、
―誰かと親しくなりたいと思ったら、こちらから相手に「気」を送らなくては何も始まりません。そして、相手からも「気」を受け取り、それを盛んに繰り返すのです―。
つまり、言葉は不要。工藤静香のように目と目で通じあうのでもなく、「気」と「気」で通じあう、ということでしょうか。“かめはめ波”?
むろん、このパンにも、並々ならぬ「気」がこもっているのでしょう。パンって気泡が重要っていうし。
そういうことか。そして私に足りないのは気だったんだ・・・。
そうか。
あの時も、この時も、足りなかったのは気だったのかもしれない。
こんな素朴なパン屋さんで、人生考えちゃうとは。
ひとつ、ため息をついて本をゆっくり閉じました。
そして、「おいしかったよ。また来るぜ」的な気をびんびんに送って帰ってきました。
たぶん、受け取ってくれたと思います。
みなさんも、ときには「気」、送ってみてはどうですか。