私は、よく書店へ行く。
大型書店も小さな書店も、古書店も専門店も、とにかく書店ならば入ってみる。特に何かを買うために行くのではなく、書店という場所が好きなのだ。
もちろん本を読むのは好きだ。読むのはたいてい近現代小説かカルチャー系の雑誌という偏りはあるが、1週間に2〜3冊は読むように心がけている。
本が好きな人が書店に行くのは当然の事かもしれないが、私は、数えてみると月に20回程度も書店に足を運ぶ。何度も行く書店もあれば、初めて入る書店もある。何となく足を運んでしまう場所だし、何となく行っても存分に楽しめる場所だと思う。
近年になって札幌中心部に大型店舗が何店もできた。その当時まだ学生だった私は、授業の合間をみては街に繰り出して、書店散策を繰り返した。その習慣が今も続いているのである。
それだけ色々な書店に何度も足を運ぶと、様々な事が見えてくる。
この本屋はデザインの本が多くあるけれど、規模の割に広告に関係する本は少ない
とか、
新書はオールジャンルまんべんなくあるのに、文庫には偏りがあるな
とか、
この店は系列店よりだいぶ自己啓発本が多いな
とか、
ファッション誌の在庫やバックナンバーが豊富だ
とか、たくさんの本がある大型書店でも店によって特色が見えてくるのだから、置くスペースが限られている小さな書店ではなおのこと本が厳選され、特色が強く出る。
そんな、いわば「書店の性格」を見るのがとにかく楽しいのだ。
有名作品だけではなく文豪の知名度が高くない短編集や対談集など、他の店には置いていない様な本を見つけると、まるで宝を見つけたかのように嬉しくなるし、ますますその書店が愛おしくなる。
ふむふむ、と真面目に本を物色しているように見えて、心の中では大興奮で本棚を眺めているのである。それだけであっという間に時間が過ぎてしまい、閉店時間ギリギリまで本を眺めている事もあるほどだ。
それだけ本を眺めているとついつい買ってしまう事が少なくない。
つい最近買った本は『舟を編む』(三浦しをん氏著)と、『新解さんの謎』(赤瀬川原平氏著)の2冊である。どちらも辞書にまつわる作品だ。書店に膨大にある本の中でも本にまつわる本を選ぶとは・・・と母親にもあきれられる程だったが興味のあるのだもの、仕方がない。
『新解さんの謎』(赤瀬川原平氏著)
そんな私の本棚は、まだ読めずにいる本が30冊近くもある。
書店をまわる時間を読書にまわせば読めるだろうが、まだまだ書店散策の生活は続きそうだ・・・。